今年の年明けてまもない頃のサーキット。
シバタイヤが各地のサーキットで良い記録を出した関係で…
「シバタイヤがどうやら性能がいいらしいぞ?」
「タイムが出ているっぽい」
「ラジアルレコード?」
という話が出回り、本当のところどうなんですか?履いてみたいんですけど、どれ買えばいいですか?といった問い合わせや相談が大変多くなりました。
そこで今回は、たくさんのシバタイヤをテストさせていただいた経験を踏まえ、「これからのサーキットでシバタイヤを履いてみたい!」という方や、「履いてみたけど思ってたのと違う…」という方へ、選び方や基本的な使い方として参考になるような情報を発信させていただきます。
長文ではありますが、よければ最後までお付き合いいただけると幸いです!
これからシバタイヤを履いてみようかと検討されている方へ
というわけでいきなりですが結論。
R31パターンの280Rを履いてください!
縦横のグリップレベルやライフ、普段使いの快適性、タイヤパッケージから得られるスキルなど、どれをとってもバランスがよいです。車種や走るステージ、季節もあまり問いませんのでおすすめです。
詳しくは以下で解説していきます。
まずシバタイヤには同じタイヤサイズだとしても、ざっくり4種類が存在します(2024年06月現在)。
シバタイヤのタイヤパターン
まず触れるのはタイヤパターン。こちらは今売られているのは2種類あります。
- R23パターン
シバタイヤ設立当初からある深溝のタイヤパターン - R31パターン
2023年頃から販売が始まった浅溝のタイヤパターン
タイヤコンパウンドの違い
次はタイヤのコンパウンド。同じサイズ・タイヤパターンでもコンパウンドが異なるタイヤを選ぶことができます。
- 200R
夏場以外の1周のラップタイムだけでいうと、現時点では最もタイムが出るコンパウンド。R23パターンとR31パターンの両方で選択可能。 - 280R
R31パターンだけに選択できるコンパウンド。冬場なら200Rほどの一発タイムはないものの、縦横のグリップバランスやライフが長く、万人受けするコンパウンド。 - 280
R23パターンで選択できるコンパウンド。耐久レースなどの連続周回に向いた硬めでタレにくいコンパウンド。ミニサーキットだと200Rと比べて1秒以上差がつくケースもあるものの、ずーっと同じペースで走り続けられる。
まぁ、結局どれ履けばいいの?って迷いますよね…w
おすすめはR31パターン 280Rというシバタイヤ
前述した通り、今のラインアップであれば、初めて履く方にはR31パターンの280Rがおすすめです。
ではなぜ280Rがおすすめなのか?というところですが、理由はすごくシンプルで、どんな車でも、どんな乗り方でも、どんなコースでも、そして季節を問わず1年中、楽しく走り続けられる懐の深いタイヤ特性を持っているからです。
それでいてタイヤの温まりやすさが、シバタイヤの全ラインナップの中で最も優れいていると言うことも安心しておすすめできる点です。
さらに補足すると、このタイヤを履いてみた結果で、
- 280Rよりも絶対的なグリップ力がある200Rがある
- 280Rよりもライフが長い280がある
ともなりますので、今後のシバタイヤ選びをスムーズにできる立ち位置でもあるからです。
いきなり200Rや280を選ぶこともダメではないですが…
初めてシバタイヤ履きますという中で、いきなり200Rや280でもダメとは言いません。迷わず使ってみたいと思えるならそれでも良いとは思います。
とはいえ…
200Rを最初に選んだ方が陥りがちなこと
「200R、減るのも垂れるのも早いじゃん!全然使えね!」
200Rは全開走行での連続周回にはあまり向いていません。もちろん持たせる走らせ方をできる方なら上手に履きこなすことは可能です。
けれども、そういったことを把握されていない方がいきなり全開走行をしてしまうと、タイヤがヒートアップし過ぎ&グリップピークは走り慣れる頃には過ぎ去り、タイムは出ずにタイヤの美味しいところが終わり、ただタイヤが減っただけ&最悪壊れると言うケースもあります。
絶対的なグリップ力があると言うタイヤは、シバタイヤに限らず、タイヤのグリップピークにピンポイントで合わせられるような乗り方やセット、そしてタイヤの温め方や内圧管理などができないと、ちゃんと使えずに終わってしまいます。
走行枠を時系列で並べるとこんなイメージです⇩
- アウトラップ
-
さっ、タイムが出るだろう!攻めるぞー!
- 計測1周目
-
温まったかな?あれ、思いの外まだ来ない。次の周かな…
- 計測2周目
-
温まったっぽいぞ?よしペースアップしてみよう
- 計測3周目
-
おっ、結構タイム出るかも?もっと攻めてみよう!
- 計測4周目
-
おー、タイムでる?!全開だー!
- 計測5周目
-
あれ、なんか曲がらない…?ミスったかな、もうちょっと走ってみるか…
- 計測6周目
-
なんだろう??曲んない??もうちょっと走ってみるか…
だいぶ極端な例にしましたが、こういったケースでは計測2-3周目がグリップピークで、そこでタイヤのクーリングやエア調整を入れるのが正解です。
タイヤの感覚を掴むことに慣れていない方にとっては垂れ始めた?と感じる頃には、実はタイヤがもう終わってたwと言うこともあります。
割とこのケースに陥っている方は多く、走行後のフロントタイヤを見ればわかります。
200R履いてみたけどなんかイマイチだった!とコメントされる方のタイヤを見ると、こういう状態↑の方が多いので、心の中では「乗り方考えようよ…」と何度唱えたか分りません…
ちゃんと200Rに向き合ってタイヤを使いこなそうと思うなら、
- タイヤの温まりや垂れを感じ取れるようになる
- 必要以上にハンドルを切りすぎない
- 次の周で決める!と言う乗り方やセット、エア圧管理などをできるようにしておく
は必須となります。これをやる自信がまだない・やりたくないと思うなら、280Rで走る&練習するのが一番ですw
余談:シバタイヤ選びでいきなり200Rを履いても問題にならないのはこんな人
いきなり200Rを履いちゃダメなの?って話ですが、決してそんなことはないですし、ちゃんと使える方もいらっしゃいます。
具体的に言うと、
ADVAN A050 GSコンパウンドやRE-12D TYPE Aなどの新品タイヤを何セットも経験し、温め方やグリップピーク、それらに合わせた最適なセットアップや乗り方を心得ている方となります。
なぜこうなるかというと、メーカーや銘柄関係なく、ハイグリップタイヤというのはグリップピークとタイヤのコンディションを感じ取れて、そこできちんと全開走行出来る方じゃないとタイヤを使いこなせないからです。ただ発熱・摩耗させてタイヤが終わってしまうというケースはとても多いです。
こちらの記事も参考にどうぞ↓
280を最初に選んだ方のあるある
280は280Rよりも長持ちするので、おすすめできると言えばお勧めはできますが…
「連続周回しても減らない!遊べる!でももうちょっとタイムが欲しいかな…」
280を履いた方の多分大半は、その状態からタイムが出るモデルにしたいと欲が出るはずです。そうなった時に、200Rか280Rという選択肢となるのですが、グリップ力・減り・グリップピークの持続力はトレードオフなので、どれくらいまでライフとタイムを天秤にかけるかになります。
自分の使い方にとっての未知数な状況の中で、最もグリップ力がある200Rへいきなり行くか、280Rに留めるかは大変迷うかと思います。
その点、280Rを履いておけばその辺りはとてもスムーズに選べると思いますので、やっぱり280Rをまず履いてみるのが最良の選択肢だと考えています。
シバタイヤの280Rの魅力はたくさんあります
シバタイヤの280Rはまずなんといっても、シバタイヤのラインナップの中で最もバランスが良いと言うことがあげられます。具体的に言うと、
- 縦横のグリップバランスがちょうど良く、旋回限界がわかりやすい
- 冬場ではちゃんと使いこなした200Rにはタイム的に勝てないけど、280Rの方がタイムが出ると言うケースも実はある
- タイヤの温まりがとても良いが、減りが早いかというとそこまででもない
- 街乗りでのロードノイズは280Rが一番静かで乗っていて快適
- 素性が良いのでどんな車種・コース・乗り方でも比較的マッチする
では詳しくみていきましょう。
縦横のバランスがちょうど良く、旋回限界がわかりやすい
シバタイヤの基本性能として元々、縦方向は非常に優秀でした。そこだけを見ると、ADVAN A050 GSっぽい雰囲気を持っているモデルも中にはありますし、それを活かせる乗り方や車のセットの方は昔も今もタイムが出ています。
その中で280Rは、200Rのグリップピーク時の絶対的なグリップ力には及びませんが、縦と横のグリップ力がシバタイヤの全ラインナップの中で最もバランスが良いと感じます。
そして横方向の旋回限界、特に舵を入れてコーナーのクリップへ向かっていく際に、限界を超えると明確に曲がれませーん!とスーッとフロントが逃げていきます。
そのため、その限界を超えない曲げ方やセットなどを試行錯誤することで、ドライビングスキルや車のセットをより洗練させることができますし、次に繋げる何かを見つけやすいです。
200Rも基本的にはそれと同様ですが、200Rでこれをやるとタイヤの摩耗が一気に進むので何セットも必要になります。その点、コンパウンドが強めな280Rならそれも許容できるタフと、グリップレベルが長く続くので、じっくり腰を据えて乗り方やセットの模索ができます。練習やセット出しにももってこいです。
280Rの方がタイムが出るケースがある
グリップピークで全開走行がまだ苦手・練習中という方にとっては、280Rは非常に優しいです。というのも、280Rは200Rよりもグリップピークが長続きするので、その間に何度も連続アタックできてしまうからです。
280Rは走行会の1ヒートにたくさん計測を行ってもへこたれません。200Rでそういう使い方をすると1周のタイムなら280Rを超えるとは思いますが、グリップピークは短いので280Rと同等のペースでの連続計測・周回はまずできません。
200Rはピーク時のグリップ力は高いですが、その持続力は280Rよりもはるかに短いので、ピンポイントな乗りこなしが必要となります。そしてそれは路面温度が上がるとより一層顕著となり、グリップの持続力が短くなります。具体的には初夏くらいの陽気になると、200Rのよりも280Rの方が1周のタイムが出てしまうというケースも出てきます。
タイヤの温まりがとても良いが、減りが早いかというとそこまででもない
280Rの開発をやってて一番びっくりしたのが、タイヤの温まりの早さです。
通常、柔らかいタイヤ(減りが早いタイヤ)が最も温まりやすいと思いませんか?僕はそうでしたが、280Rの開発モデルを初めて履いてコースインした瞬間、びっくりしたのを今でもよく覚えています。
280Rは、200Rよりも温まりが早いんです。それこそ、温まりの良さに定評のあるADVAN A052と遜色がありません。
280Rの開発モデルを初めて履いて、車から降りた瞬間に柴田社長にこの温まりの良さはなんで200Rでは得られないんですか???とやりとりしたのをよく覚えていますw
(↑は構造や材質の問題関係しているそうです)
温まりがよければよりユーザーに優しく、サーキット走行が楽しめますし、タイヤのコンディションを特別な技術や設備がなくても整えられるというのは喜ばしいことです。
そして、温まりが良いからといって200Rより減るのかというとそうではなく、スポーツラジアルタイヤとしては一般的なライフだと思います。連続周回したサーキットの撤収時、タイヤ減ったなーと感じるようなことは特にありません。(もちろん減り具合については使い方や車種・サイズによるので一概には言えません)
街乗りでのロードノイズは280Rが一番静かで乗っていて快適
実はこれもびっくりしましたw
ADVAN A052がスポーツラジアルの中で最も快適に街乗りできるタイヤで、シバタイヤと比べると圧倒的にそれが静かなわけですが、280Rならほぼ遜色ないくらい快適に街乗りや高速道路を走行できます。
280や300などのような硬めのコンパウンドの方が静かになる傾向だと思ったんですが、そんなことはないんですね…
素性が良いのでどんな車種・コース・乗り方でも比較的マッチする
温まりが良くて縦横のバランスがいいので、車種を問わないと思います。
それこそ、街乗り・ミニサーキット・国際サーキットと280Rで走り込みましたが、特定のコースには全然マッチしないよということはなく、それぞれのステージで安定してずっと走ることができます。
ほんと、懐が深くてタフなタイヤだと思います。
シバタイヤはまず280Rという選択でOKです
長々と書いてしまいましたが、シバタイヤ初めてですという方はまず280Rを履いてみてください。万人ウケすると思いますし、今後の選択をする上でもスムーズなので、きっと無駄にはなりません。
唯一、難点をあげるとしたらR31パターンゆえ、サイズラインナップがR23パターンよりも少なく、場合によってはこのタイヤを選べない・履けないという方もいらっしゃるかと思います。
そういう方はどうすればいいの?という話ですが、その場合は280の方をおすすめします。なぜ200Rではなく280になるのかというと、語り出すとこれまた長くなってしまいます…。なので別途まとめさせていただければと思います。
というわけで、シバタイヤの選択に迷われた方の参考になれば幸いです!