【2025年版】FD3S RX-7のロータリーエンジン オーバーホールの費用と作業内容

新車発売から30年以上が経過した個体も多いマツダの名車FD3S RX-7。長く乗るためには、走るステージに関係なくいずれはロータリーエンジンのオーバーホールが必要になります。

オーバーホールはなるべく安く!できれば理想だとは思いますが、再使用できるパーツの減少や新品パーツの高騰、清掃・計測・研磨・調整などの手間などを考えると、新品同様のロータリーエンジンの性能や良さを保つ上では、どうしてもある程度予算を投じなくてはなりません。

ではそのある程度ってどれくらいなのよ??っていうのが一番気になるところかと思いますので、今回は2025年版のFD3S RX-7のロータリーエンジン本体や、それに関連した作業にかかる費用などについてまとめます。

これからFD3S RX-7に乗ってみたい!という方や、そろそろエンジンが…という方の参考になれば幸いですが、あくまで「サカモトエンジニアリング」として提示している作業メニューや費用概算なので、他のお店さんとは考え方や対応方法が異なる場合もあります。あらかじめご了承ください。

ロータリー本来の性能を取り戻すためのオーバーホールです

まず前提条件となりますが、サカモトエンジニアリングとしては「とりあえず走れればいい」といったその場しのぎのようなオーバーホールはおすすめしませんし、対応したくはありません。

FD3S RX-7に搭載された13B-REWは多少の不具合があっても普通に走れてしまうこともありますが、「FDを大事に長く乗っていきたい!」という方には本来のロータリーエンジンの良さを思う存分体感して欲しいと思っております。(実は圧縮漏れやタービンが不調でトルクが全然出ていないエンジンだった、ということもよくあるケースです)

「いやいや、乗れれば十分ですからできるだけ安く」という場合、申し訳ありませんが作業をお断りさせていただくこともあります…

2025年版 FD3S RX-7 オーバーホールの最低限必要な作業項目

では最初に、どのようなところがロータリーエンジンのオーバーホール作業として必要になるかです。

ざっくり項目としては以下の通り。

ロータリーエンジン本体

5面ハウジング、各種シール・ゴム類は新品交換。ローター本体とエキセントリックシャフトは測定後に再使用を判断。あと可能であれば、メタリングオイルポンプもこのタイミングで新品交換がおすすめです。

エンジンハーネス

エンジン~ECU間のみは交換履歴がない・10年以上経っている場合は新品交換。その他車両にはたくさんのハーネスがありますが、廃盤のものが多いです。

センサー類

温度・圧力・角度・ポジションなどの各種センサーがたくさんありますが、個体によって故障やズレなどの差が出る部分です。場所によってはすでに交換しているということもあるので、現車確認などを行なった上で交換を判断します。

点火系

点火コイル、プラグコード、コイルハーネスなどの点火系の要となる部分は交換をおすすめします。他にはスパークプラグ本体やイグナイターなどあげられますが、そちらは状況により交換となります。

燃料系

燃料ポンプ、ポンプリレーなどは交換せずそのままという車両も多いので交換します。可能であればポンプの駆動方式をバッテリー直へ変更することもおすすめしています。燃料計が不調になると、ロータリーエンジンはブローの可能性が高くなりますので、安定して供給できるようにしたいところ。

冷却系

ラジエター本体、ヒーター本体、ウォーターポンプ、サーモスタット、そしてそれらをつなぐホース類など、交換歴がない場合は交換しましょう。これを換えずに…ということでのトラブルが数年前よりほぼ確実に発生しています。

とくにヒーター本体(ヒーターコア)の交換歴のない車は、必ずこのタイミングで交換してください。漏れ(破裂)の場合は、車内に冷却水が垂れ流れ、悲惨な修理作業が発生します。(車内全分解、清掃、干し。その分作業料金も…)

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なにより冷却水の漏れですので、ブローしてしまうリスクもあります。

電装系

オルタネーターも交換歴がない場合は交換必須。バッテリー本体については現車確認の上判断。(このタイミングで純正位置から移設する車両も多いです)


この辺をやれば最低限、安心して乗れる状態かと思います。費用概算としては上記の内容だけでざっと350万~ほど掛かります。

ただこれらはあくまで最低限。車両の状態や廃盤部品、予算なども踏まえて調整なども発生します。そしてこれだけ掛けてもオーバーホールで実施したいパーツ全部が新品になっているわけではありません。(センサーやハーネス等)

あくまでエンジンブローに直結する部分を、なるべく新しくする内容となります。逆にいれば、これでロータリーエンジンのオーバーホールが完結する個体だったらラッキーという感じで、昨今ではこれに加えてここも!という項目が増えつつあります。それがタービン関係の交換作業…。

タービンも交換が必須??になりつつある13B-REW

ちょっと前であれば、タービン本体の再使用は何も問題はなかったですが、最近では交換が必要な車両が増えました。というか、2024年に対応させていただいた個体はほぼ全車NGでした。タービン交換歴がない場合はどうにか?ごまかして?機能している感じといってもいいでしょう。

不具合の具体例としてはエキゾーストマニホールドのクラックや、ターボ本体歪み、アクチュエーターなどが原因による廃棄漏れやそれに関連したトラブルでした。そのためタービン本体の交換が必要になりますが、純正タイプのタービンはもう手に入れるのが困難のため、社外のシングルターボ化が必須になります。

この辺りはオーバーホールというよりもチューニングに属すると思いますが、金額については使うタービンによって変動します。そして結果的にエンジン出力も純正より上がりますので、クラッチや冷却系の強化も必要になります。

では具体的に、このタービン交換とそれに付随する駆動系・冷却系の作業項目や費用については以下の通り。

タービン交換

HKSやトラストなどの純正サイズ+α程度のタービンが主流。中でもHKS GTIII-4Rは乗りやすく耐久性もあるので、迷ったらそれがいいですよと即答するほどおすすめです。

追加費用:170万円程度

クラッチ交換

クラッチについては昔と違い、例えばATS製のクラッチであれば強化ツインクラッチであってもまるで純正かのように乗れますので、実用上は何ら問題ありません。クラッチ交換の際にはついでに、クラッチマスターやレリーズシリンダーなどクラッチに携わる部分も交換しましょう。

追加費用:50万円

冷却系

シングルターボ変更に伴い、冷却アップはほぼ必須となります。基本的にはVレイアウトキット(いやゆるVマウント)。バッテリー本体に移動や搭載位置等も変更になります。

追加費用:80万円

エンジン制御系

タービン交換となると、純正コンピューターは制御不可、燃料噴射量も足りなくなります。そのため、サブコンやフルコンなどへのコンピューターの変更に加え、インジェクターの大容量化が必須です。

ストリートのみの方はAPEXi パワーFCをおすすめ。サーキット等も走る場合はフルコン(LINKやMOTEC)が良いでしょう。

  • LINK+燃料系+その他ハーネス類の場合で追加費用:150万円
  • パワーFCの場合の追加費用:80万円

エキゾースト系

タービン交換を行う車両によっては、マフラーなどの変更も必要になる場合があります。社外タービンを採用する場合、純正マフラーや極端に内径を絞ったマフラーだと、本来の性能を発揮できません。できればしっかり抜けるタイプへと交換しましょう。

総額800万円…でも一気にやる必要はないです

ここまで書いたメニューをすべて同時にやる場合、一気に800万円以上が必要になりますが、当店のお客様でも一気にここまでやる方は少ないです。

ご要望があれば対応は可能ですが、段階を追って作業をされていく方がほとんど。

大まかには、クラッチやVレイアウト(冷却系含む)、コンピューター等は先にやって今後に備えて準備しておく。そしてロータリーエンジンのオーバーホール時期が来たら、オーバーホールと合わせてターボ関連や燃料増量等を行うという流れが多いです。車両の状況によってはもっと細かく分別して作業を進めても良いと思います。

とはいえ、FD3S RX-7に乗り続ける上ではいつか必ず来るエンジンのオーバーホール。その時期を見込んで、なるべくエンジンの周りから固めていく方法をおすすめします。一番怖いのは修復不能の域までブローしてしまうことですが、周りからちょっとづつ進めていくことで回避することもできますし、出費は最低限で済みます。もちろん、必要になる作業・交換が必要になる部品は車両の個体差があります。

オーバーホールをサカモトエンジニアリングで実施する場合、車両の使用や状況などを確認させていただき、オーナー様と相談しながら「今回はここまで」と分け、段階を踏んで作業や仕立てを行なっていく方が効率良いと考えています。

以上が最新版のFD3S RX-7のエンジンオーバーホール時に必要な作業や費用概算でした。上記の内容によりすんなり「〇〇万円です」という金額を提示できませんが、当店でのオーバーホールに興味がありましたら、お問い合わせいただけますと幸いです。

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書いた人

サカモトエンジニアリングの代表です。
チューニングも走ることも好きで、週1はサーキットに行きたいと常に思っていますw