GR86&BRZが出てしばらくしてから話題になったのが、いきなりエンジンブローという事象。
激しいエンジンチューンを行っているわけでもない、いわゆる吊るしの状態で油水温も問題ないのに…という状況で壊れたという投稿を、SNSなどで数多く見かけました。
根本原因こそわかっていませんが、個人的にはオイルストレーナーのフィルター詰まりによる油圧低下→メタルなどの痛み・損傷→エンジンブローというのは説は一理あると考えています。
もちろんエンジンブローの根本原因とは限りません。エンジンが壊れるのは様々な要因が重なったりなどもして起きることなので、これをやっておけば絶対に大丈夫!と言えるものは存在しません。
ただ、オイルパンのストレーナーのフィルター清掃はやっておいた方が無難なのは間違いないので、詳細について触れたいと思います。
そもそもなんでオイルストレーナーのフィルターが詰まるの?
GR86&BRZ(ZN8・ZD8)に積まれているFA24型には組み立て時、多くの液体パッキンが使われています。
こちらは新車から走行500キロ未満の個体(もちろんエンジンもメーカー出荷時の状態)。これ全部液体パッキンです。
外側から見てこの状態ですから、エンジンの内側も同様にはみ出ていると考えるのが無難です。
で、このはみ出ている液体パッキンですが、カッターなどで切られたような破片がエンジン内部で生成されます。この詳細は分からないんですが、おそらくタイミングチェーンやカムシャフト付近でそうなると考えられます。液体パッキン自体は熱や振動レベルではびくともしなさそうなものが使われていますので・・・。
とはいえ、液体パッキンの破片があるのは事実。それがオイルラインを経由してオイルパンに到着します。そしてオイルパンに入った液体パッキンの破片は、再びオイルに載ってストレーナーで吸われるわけですが…
そこにはフィルター(金属の網)があります。通れないサイズの液体パッキンの破片は、ばらさない限りここに居続けます。(これまでたくさんの摘出を行いましたw)
で、そういった液体パッキンの破片がどんどん蓄積していくと、やがてオイルストレーナーのフィルターの詰まりを誘発し、油圧低下を招くという流れになります。
油圧低下が起こりえる状況ですと、それ以降のことは・・・あまり考えたくないですね(特に全開時などのエンジンに高負荷をかけているとき…)。
それにオイルラインに液体パッキンの破片が居続けているという状況は、想像するだけでも決して気持ちのいいものではありませんw
オイルストレーナーのフィルター詰まりの解決法は?
ではどうやってそのオイルストレーナーのフィルターの詰まりを解決するの?という話ですが、それはもうばらして手で摘出するしかありません。添加剤等ではどうにもなりません。
方法はいたってシンプル。オイルパンを開け、そこにあるオイルストレーナーの根元にあるフィルター部の状況を確認し、長めのピンセットなどで取るだけです。
で、この詰まりの除去。定期的なチェックを行うことが理想ですが、新車時から慣らし程度の走行→この詰まりを除去しておけば、あまり問題にはならない気がしています。(デモカーGR86や弊社メンテナンスの車両では現状そうです)
何キロごとにやった方が良いか?的なことについては現在試験中な所もありますが、やったことない個体については1度見ておいた方が良いとは思います。精神衛生的にもw
とはいえ、文字にするとすぐ終わりそうな感じですが、サカモトエンジニアリングにて対応をさせて頂く場合、最低でも1.5日程度はかかってしまう作業となります。詳細を解説します。
GR86・BRZのオイルパン&ストレーナー清掃の手順・詳細
とにかくオイルパンを開ける所まで行かなくてはいけません。まずは下回りのカバー類を外していきます。
見ての通り、FA24のオイルパンはエキマニを取らないと外せない構造です。そしてエキマニを外すためにはフロントパイプや中間パイプなどを外さないといけない仕様ですw
そしてオイル抜き&エキマニを外し、やっとこオイルパンが開けられる状態となります。
オイルパン自体も液体パッキンで固まっているので、カッターなどで切るように処理していきます。
そしてこれが外れたオイルパン。液体パッキンでびっちり固定されています。(なかなか外れません)
外した際のオイルパンの液体パッキンもピロピロしていますが、オイルストレーナーのフィルターに詰まっている液体パッキンは別の色であることがほとんどなので、ここの液体パッキンが外れて詰まっているということではないと思っています。(前述した通り鋭利なもので切られたような破片ですし)
そしてオイルパンがこのレベルで液体パッキンでびっちり固定されているので、エンジン内部も同様なのでしょう。。
そしてメインとなる液体パッキンの破片摘出作業やオイルパンの清掃を行います。
フィルター部はピンセットを使って目視チェックをしながら丁寧に液体パッキンの破片を除去。
そしたらオイルパンを再び組み付ける準備です。各部を清掃していきます。
清掃が終わったら組付け。液体パッキンを塗り、固定して一晩乾燥させます。(これが1日でこの作業が終わらない最大の理由ですw)
翌日はオイルを入れて各部の漏れチェック&最終組付けと確認を行い、作業が完了となります。
これをやれば大丈夫!ではないし、やらなくても・・・
このフィルター清掃。実施すれば絶対にエンジンが壊れない!とはなりませんし、やらなくても元気にサーキットを走り続けている個体も存在します。
ただ、オイルストレーナーのフィルターが多かれ少なかれ詰まる可能性があるのは事実だと思いますし、長く大切に乗ろうと考えられている方はやっておいた方が良いと思います。
ご自身でこの作業をやられる場合も手順は同様になりますので、ご参考になれば幸いです!
参考:サカモトエンジニアリングで作業を行う場合
当店でこの作業を行う場合の工賃等は以下の通りです。
- 工賃
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52,910円(税込)
- ショートパーツ
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3,300円(税込)
- 別途オイル代
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約6L分が必要です。
オメガ、HKS、ペトロナス、Moty’sなど各種油脂類取り扱っております。(持ち込み不可)