GR86の車高調&足回り。最終的にアペックスN1ダンパーでおすすめできるサスペンションセットが出来ました!

デモカーGR86の足回り。

ぱっと見はわからない部分ではありますが、2022年の終わりから現状に至るまでで、たくさんのセット変更やダンパー&バネを試してきました。

現在はストリート然としたGR86としての仕様が成熟しましたので、今回はその経緯について触れたいと思います。

最初はKWのSTベースの仕様でしたが…

そもそもGR86。大変困ったことにサスペンションセットは純正状態でかなりの完成度ですw
(ZN6の方の86もかなりのものですが、ZN8(GR86)はさらにヤバいです…)

どれくらいの出来かというと、サーキットを気持ちよく走る中では何も不満がありません。なのでショップをやってなかったらそのままずっと乗り続けますというほどです。

GR86を買ってノーマルの足回りで初めてサーキットを走ったとき、帰りの自走の車内では「こんな出来のいい車つくるとかメーカーショップ泣かせだな…」と悶々としましたw

とはいえ、ショップとしてGR86を走らせるなら、ラップタイムを求める仕様を作っていくのは自然な流れ。完成度が高いとはいえ車両の限界値を上げていったり、ハイグリップタイヤを履くとするならそれにふさわしい足回りが必要になります。

なので、この完成されたバランスや乗り味を維持しつつも、よりタイムを出せる仕様へと変えていきます。

まぁ、言うのは簡単ですが、現実的にはとても大変。なにせ色んなところを走ってみないと、ちゃんとしたセットアップの検証ができませんからね…w

まずはKW姉妹ブランドのSTベースで車高調をつくりました

じゃあ最初、サスペンションどうしようとなったとき、旧86(ZN6)でめちゃめちゃ感動したKWのコンペティションシリーズを入れようとしました。

が、このサスペンション。もの凄くいいんですがコンペティション用なので3,000-5,000キロ程度でのオーバーホールが推奨。自走遠征するGR86にはちょっと行き過ぎてるなということで却下。。

その代わりにKWの姉妹ブランドで、価格もお手頃&街乗りもかなり許容するけどサーキットもOKなST製のサスペンションを導入しました。

導入初期はSTの市販状態でも満足はしていたんですが、そのうちに物足りなさが出てきたのでバネレートなどの仕様を変えたオリジナルサスペンションを製作。

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で、これで走っていたのは2022年の春~秋ごろの話。乗り味を含めて純正サスペンションセットの延長上にある感じで出来としてはとても満足はできたのですが、ラップタイムに対する欲は尽きないものでw

このままの出で立ちでもっとタイムを出せるGR86にしたい!ということで、もっとタイヤを使える足回りを模索しようということになりました。

まぁそれに関して言い換えれば、今どきのハイグリップラジアルタイヤは凄く高性能なので、生半可な足回りじゃ性能をフルに使いこなせないんですよね…

KWのコンペティションにしようかとよぎったものの…

というわけで、よりサーキットスペックな足回りの模索を開始(2022年秋~)。また一瞬だけ、KWのコンペティションシリーズ?ともよぎりましたが、前述のオーバーホールサイクルの兼ね合いでやっぱり秒で却下w

既存のST車高調でダンパーやバネの仕様をさらに変えて云々…とも思いましたが、最終的には棒のような車高調になっていくことが予測できました。その場合はサーキットではそれなりのタイムは出せると思いますが、いろんな弊害もでたり限界値もそこそこで頭打ちになるのでそれも却下。

で、色々検討した結果。

http://www.apexi.co.jp/products/damper/n1_damper.html

街乗りも許容する車高調シリーズの中で、ダンパー本体の物理的なサイズが最大クラスを誇るアペックス製のN1エボリューションダンパー(通称:N1ダンパー)で開発することに決定。

GR86/86/BRZの足って、ラップタイムを求めていくと固くなる方向になりますが、それでもダンパーが物理的に強い仕様にできるかどうかによって、そのダンパーで先があるかが変わってくると思っています。(硬い・硬くないの話ではないです)

文字で説明するのは難しいですが、、、

硬い中にも粘るような柔らかさがあるというか、
ストロークする中でもタイヤを潰してくれる硬さがあるというか。。

というわけで、物理的な設計として容量が稼げそうなアペックス製のN1ダンパーを投入です。初見はダンパーがふっといなというのが率直な感想。バネ径に対してダンパーがみっちみちですw

なお、N1ダンパーの導入にあたっては吊るしではなく、もうすでに仕様を変えて頂いたオリジナルスペックです。

N1ダンパーを導入するにあたってはアペックスの走れる広報担当のKさんに、これまでの脚の仕様や僕の要望などを伝えていました。なのでこのN1ダンパーは初めからそのワガママ仕様になっていますw

お陰でポン付け→シェイクダウンした当日に過去ベストを更新するくらい、非常にスムーズにセット出しが出来ました。STベースの時も結構頑張ってセットアップ&タイム出していたつもりですが、容易に先に行くことが出来ました。

まるで漫画:バリバリ伝説のWGP編で、HRCから新型NSRのガンボーイ仕様を渡されてドニントンパークを走り出した巨摩群の気分です(伝わるといいなw)

その後はセットアップのデータを取りつつ、大きな仕様変更は行わず(ダンパークリック+α程度)に、スポーツランドSUGO、鈴鹿サーキット、モビリティリゾートもてぎ、筑波サーキットコース2000、富士スピードウェイなどを走行。

が、セット出しや開発に楽しくなりすぎてw 見ての通り走り過ぎによるタイヤの消費も激しい中で、履けるタイヤがない問題に直面しました。ずっとADVAN A052を履いていたんですが、メーカー在庫切れ・納期未定でどうしようっていうやつですね…。

今思うとこれが転機w

というところで、手っ取り早く在庫もあるし、ユーザーさんが買いやすいタイヤの一つであるシバタイヤを導入。

シバタイヤは履いた当日、相当ボロくそなコメントをしましたが、特性がADVAN A052と似た感じだったのと、ADVAN A052がその時まだメーカー在庫切れだったので、「僕がシバタイヤを使えて無いだけか?」と冷静になり、しばらくシバタイヤで走ってみることにしました。

また、どうせAVDAN A052の納期はかかるしっていうことで、これまで履いたことがないラジアルタイヤなどを色々履いてみました。

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その結果…

もっとGR86って曲がるんじゃない?から、また足回りを刷新

で、これまで愛用してきたADVAN A052でしたが、それ以外のタイヤを履いているとタイヤのパフォーマンスや車両側のメカニカルグリップの改善の余地などが見えてきて、「もっとこう…」といった足回りに対する要求が出てくるわけです。

銘柄は伏せますが、とあるタイヤをGR86に履いたときには「すげーいい!横が凄くある!曲がる!楽しい!なんの不満もない!」ということもありました。ユーザーさんならそのタイヤを履いてちゃんちゃんなんですがw

僕が考えるショップデモカーとしては「タイヤに依存するパフォーマンスやセットアップ」にはしたくないので、どの銘柄のタイヤを履いても車両側である程度許容できる足回りを作っていこうとなりました。(最終的にはラップタイムだけはタイヤのパフォーマンスに依存しますがw)

そこからはブログに載せきれないほど試行錯誤w

サーキットにもいっぱい通いましたし、複数のタイヤ銘柄を履いてセットアップやタイヤの摩耗状況などを確認して色々試す日々を過ごしました。

過程は割愛しますが、結果として横方向のグリップレベルが低いAVDAN A052やシバタイヤを履いても、よく曲がる上に連続して速いペースで周回も可能な「タイヤに優しい足回りのセット」が出来ました。

各所のラップタイムとしてはこんな感じです。

ADVAN A052 235/45R17での各所のラップタイム

  • 日光サーキット:38秒979
  • 富士スピードウェイ:1分58秒775
  • スポーツランドSUGO:1分36秒941
  • 筑波サーキットコース2000: 1分3秒508
  • エビスサーキット東コース:1分3秒955
  • 鈴鹿サーキット:2分26秒761

条件が整えばもっと出るでしょう。でも、そういった一発の条件が揃わないと出ないタイムはストリート号では不要wいつでも安定して速く走れて楽しく曲げられるのが理想だと思います。

というわけで夏日にもなるし、今シーズン(2022-2023)はセットも出たし十分満足、終了!!!

…とはなりませんでしたw

もうひと段階上もあるのでは?と思い、ダンパー本体の仕様変更を実施

タイムが出るのは当然寒い時期ですが、デモカーは一年中走るのでそもそもシーズンっていうものがありませんw

上記の仕様でも走っている中では特定のコースの決まったコーナーで、ロールアンダーが出たり、フロントの軽快さが欠けてといった感じで小さな待ち時間がありました。

最初は気にならなかったんですが走れば走るほど、そしてもっとタイムをと要求すると、どうしても無視できなくなり、アペックスのKさんにダンパー本体の仕様変更を相談。

まぁ、そもそもKさん自体、これまでの開発過程を現場でも何回も見てくださっていたので、その辺りの話は凄くスムーズだったんですけどw

そして新仕様のダンパーになって現在に至ります。

今のところ、このストリート然のGR86としての出で立ち・パッケージとしては全ての不満が解消しました。

仕様変更後は幸田サーキットや鈴鹿サーキット、富士スピードウェイしかまだ走れていませんが、ジオメトリやダンパーの減衰変更なしに、それらの異なる速度域のサーキットを速く&楽しく走れます。

いずれも冬場に比べて条件は良くないにしても、その時期にシバタイヤで記録したベストタイム相当で連続周回できています。

  • 鈴鹿サーキット 2分27秒775
    シバタイヤ TW200 255/40R17 USED
  • 幸田サーキット:47秒2
    シバタイヤ TW200 255/40R17 NEW
  • 富士スピードウェイ:2分00秒16
    シバタイヤ TW200 255/40R17 USED

というわけで、アペックスN1ダンパー良いですよ!

車高調は色んな選択肢がありますが、今のところダンパー仕様を変えるくらい試した数銘柄の中で、GR86の「ゴリゴリのサーキットスペック!だけど快適に街乗りもしたいです」という仕様においては文句のつけようがありません。

まぁ、値段はよくある車高調に比べると高価ではありますが、理由があるということでなにとぞw

ちなみにこのアペックスN1ダンパー。激戦のTGR GR86/BRZ Cupのプロフェッショナルシリーズでも勝ちを収めました。

この車高調良いですよっていうのが僕だけの意見ではありません、良かった!と、このレース速報を見てて嬉しくなりましたw

さて、いい仕様ができたので、これからも各サーキットを楽しく走ってこようと思います!

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書いた人

サカモトエンジニアリングの代表です。
チューニングも走ることも好きで、週1はサーキットに行きたいと常に思っていますw