ブレーキパッドの選択肢。街乗りから走行会という中でおすすめのパッド特性は?

2019年05月23日 コラム

「走行会なども加味してブレーキパッドを交換したいんですけど、おすすめのパッドあります?」

・・・こういうのは比較的多く頂戴するご相談ですね( ̄▽ ̄)

つい最近ではスバル BRZが車検&車検整備に加え、ブレーキのリフレッシュ&強化のご依頼を頂きました。せっかくですので、サカモトエンジニアリングとしてのおすすめのブレーキパッドの特性について触れたいと思います。

おすすめのブレーキパッドの特性、突き詰めるととてもシンプル

ブレーキパッドはアフターパーツ市場の中でも選択肢がとても多いカテゴリの一つだと思います。それこそ、TRDやSTIなどの純正系ブランドだったり、APレーシングやENDLESSなどのブレーキ専門メーカー、HKSなどのアフターパーツメーカー、ショップが開発&販売しているオリジナルのブレーキパッドなどなど、本当に様々です。

そしてそれぞれに多くの口コミや評判・評価などの情報があふれている現代社会ですから、エンドユーザーにとっては「結局どれ選べばいいんだろ?」となるのは当然の話ですよね(^^;

特に「サーキット走行が初めて」という方向けや「新しくクルマを購入し、これからチューニングしていこう!」などとなると、取り付けるブレーキパッドを変える場合もありますから、わからないことだらけですよね。

実際のところ、ブレーキパッドの選び方には好みの問題が少なかれあります。ただブレーキパッド選びの側面としては2つしかないと考えております。

  • ドライバーの踏力に合った特性を持ったブレーキパッド
  • どんなときも安定してリニアに効いてくれるブレーキパッド

サカモトエンジニアリングとしておすすめしているのは後者の「どんなときも安定してリニアに効いてくれるブレーキパッド」です。それは車種や駆動方式、使用タイヤや走行ステージが異なっても変わりません。

ドライバーの踏力に合ったブレーキパッドをすすめない理由

世の中の多くの支持を得るようなブレーキパッドの特性は、初期制動が割と強めな仕様であると感じます。そしてそれは街乗り中心・時々サーキットという一般的なスキルのドライバーからすると、「このブレーキパッド、いいじゃん!」と直観的に好感を持たれるケースを多く見てきました。

そうなる理由はとてもシンプルで、「効いているように錯覚する」というのが大半です。街乗りなどの低い速度域で初期が強いブレーキパッドの場合、ちょっとだけブレーキを踏んでも「ギュッ」となるイメージなので、効いているように錯覚します。

これはサーキットでもある領域まではそれが通用し、安定して強い制動を得られる(ように感じる)ため、ブレーキを攻めているような錯覚に陥ります。もっというと、サーキットで中級者、場合によっては上級者に属するラップタイムを記録するドライバーの中にも、その錯覚のままブレーキパッドを選んでしまっている方も少なかれいます。

ただこれは別に悪いことではなくて、車や走行ステージ、自分自身の踏力にブレーキパッドがあっていれば、ひとつの完結にはなると思います。

でも、サカモトエンジニアリングとしては基本的にそういう完結や、それに準ずるような方法はあまりおすすめしません。なぜなら「ドライバーのスキル」としてブレーキの使い方を考えた場合、スキルアップを望める要素が少ないからです。

ブレーキの効きの「大きさ」はドライバーの踏力でコントロールするモノ

初期制動が強いブレーキパッドをはじめとした、ドライバーの踏力(ブレーキペダルを踏む力)とブレーキの効きにレシオが掛かっているようなブレーキパッドの一番の盲点は、限界領域付近でのコントロール性にあります。

前述した「効いていると錯覚するブレーキパッド」は本当にブレーキが効いているのかというと、本質的には効いていません。なぜなら、本来はドライバーの踏力をもって到達するブレーキの効きの領域に、ブレーキパッドが手助けをする形でたどり着いているからです。これは一見すると良いように聞こえますが、そうでもないんです。

例えばサーキットの全開域から車速を止める場合のハードブレーキ。本来はリアが浮くんじゃないかくらい強いブレーキが必要になりますし、コーナーによっては綺麗に荷重を残すポイントを狙ってブレーキをリリースしていかなければなりません。

そういった状況下の中で、初期制動が強いパッド(ブレーキの効きにレシオを持ったブレーキパッド)では、ある一定領域以上の踏力になるとレシオが効いているがゆえのピーキーな特性が悪さをし、デジタル的な動きとなって限界付近で繊細なコントロールができなくなります。

もちろんこれは脚周りのセットアップとの兼ね合いもありますが、現実に起こることとしては簡単にタイヤがロックし、的確なブレーキングができず、リリースポイントが安定しないためにある程度妥協したブレーキングでことを終えることになります。
※ブレーキでラップタイムを詰めることはリスクがありますが、そのリスクとコントロール性やそれに関係するブレーキ性能はまた別の話です。

しかもサーキットでブレーキを使う場合、速度域や路面のカント、勾配や次のコーナーに求められるボトムスピードなど様々な要素に合わせてコントロールをしなければ、スムーズな減速ができません。

1つのコーナー、同じ気象条件、同じグリップレベルであれば、ドライバーに合わせた究極のブレーキパッドは用意できるかもしれませんが、現実的にはそういう用途があるのは極々まれです。というか、見たことありません(^^;

そういった“本当の”限界領域まで踏み込まずに走り続けるのであれば、「この辺りが限界かな?」で収まると思います。スポーツドライビングとしてはそれもひとつのケースですが、ブレーキのスキルアップというテーマを持つならば、踏み込んでいくべきです。

そうするために必要なのはやっぱりレシオに頼って錯覚し続けるのではなく、ドライバーの踏力(=ブレーキペダルを踏み込む力)のコントロールをきちんと鍛え、本当の限界付近で的確にコントロールできるスキルを身につけていくことをおすすめします。

・・・これは言葉でいうのは簡単ですし、なかなか伝わりにくい面もあります。それにドライバーとしてのスキルとしては、私自身ももっと鍛えないといけないなと感じています( ̄▽ ̄;)

リニアに効いてくれるブレーキパットをおすすめする理由

リニアに効いてくれるブレーキパッドの場合、ファーストインプレッションとしては「効かないブレーキパッド」という認識をされる方は比較的多いです。ただその場合、データロガーで確認するとこれまでほぼ全ての方が「十分に踏力を与えられていない」状態でした。

要するにブレーキング時の減速の傾き方が緩く、だらーっというブレーキングになって結果的に止まれないという状態です。その場合、やることはひとつ。

「ブレーキを蹴とばすイメージで踏んでください」

・・・ロックの恐怖があるのでなかなか出来ないんですよね(^^;
ただ、全開域で初めから練習する必要もないので、安全な速度域とエスケープが広いコーナーなどで徐々に慣らしていって、そういうペダルワークができるように練習することがスキルアップへの近道です。

そしてそれに慣れて(その過程でタイヤロック等の限界越えも経験して)初めて、リニアに効くブレーキパッドの本当の良さと、それから得られる多くの恩恵を受けられるようになります。

リニアに効いてくれるブレーキパッドの本当の良さは、なんといっても限界付近でのコントロール性にあります。これは初期制動が強いなどのレシオが効いているブレーキパッドしか知らないドライバーにとっては、知ることのできない領域かもしれません・・・。

その領域で出来ることは、シンプルに言うと本当のハードブレーキができるということもありますが、踏力でブレーキの強弱がリニアにコントロールでき、車速を止めることも転がすこともしやすいといえるその特性は、さまざまなサーキットのすべてのコーナー、気象条件、タイヤ特性の変化などの色んな外的要因に合わせて的確なペダル操作がしやすいんです。

限界領域で必要になる踏力というのは、速度域やタイヤのグリップレベル、ブレーキ温度や路面μの変化など、時々刻々と変わります。同じサーキットを同じ気温の中で走っても、今日と明日が同じとは限りません。だからこそ、ブレーキングでは常にタイヤの限界付近を自在に操れる踏力と、そのコントロールを裏切らないブレーキパッドが良いんです。ブレーキに対して懐が深いというか( ̄▽ ̄)

結構驚かれるw
ブレーキパッドにリニアな特性を求めるがゆえ、全部一緒

サカモトエンジニアリングのデモカーに興味を持たれた方は、ユーザー様やメーカーの営業担当者さんを問わず、仕様や使っているパーツなどについて色々聞かれます。その中で驚かれることが多いのは、使用しているブレーキパッドとその特性だと思います。

昨シーズンからの大幅な仕様変更は無し

それこそ、ナンバー無しの完全サーキット仕様のFD3S RX-7と、完全ストリート仕様のトヨタ86(ZN6)があり、それぞれに日光サーキットなどのミニコースから、ツインリンクもてぎのロードコースを始めとした国際レーシングコースまでを走りますが、使用しているブレーキパッドの摩材については全く一緒なんです。なのでブレーキ特性も一緒。

もちろん86(ZN6)については通勤や自走遠征でも使っていますから、街乗りから国際サーキットまで全く一緒ということになりますね。

※余談になりますが・・・
デモカーの開発としては、ミニサーキットから国際サーキットに至るまで、安定して楽しく連続周回出来ることを基本テーマにしていますので、取り付けるパーツについてもそういうスタンスで選んでいます。

結局のところはいつなんどきも・どんな温度域でも、ブレーキパッドには安定してリニアに効いてくれることしか求めていないので、結果的にそうなるんです。だから、世界的に見てブレーキの負担が大きいツインリンクもてぎのロードコースであっても、単なるスポーツ走行・走行会くらいであれば使用するブレーキパッドは特別なものに換えたりはしません。

それにブレーキングと脚周りのセットアップには重要な関係性がありますが、ブレーキが常にリニアに効いてくれるのであれば、セットアップの迷いが減るというのもメリットになります(^^)/

なので、お店でこの話に同調いただけたお客様には(というかほとんどの方が)・・・

LIVIX製のブレーキパッドをおすすめさせて頂いています。デモカーでずーーーっとwテストを重ねてきましたから、実績・信頼性・リニアな特性というテーマについて、一番安心して使用できるおすすめのブレーキパッドなんです( ̄▽ ̄)


・・・というわけで、長々とまとめてしまいましたが、ブレーキパッド選びの考え方の一つとして参考に頂けると良いかと思います。ただ、ブレーキで限界を求めることは少なからずリスクも伴いますので、コントロールできる範囲を前提としてトライすることを忘れないでください(^^;

またブレーキング時のマシンコントロール性については、脚周りのセットアップも大切な要素になりますので、ブレーキ=ブレーキパッド選びとはならず、トータルバランスでセットアップを進めていくと、よりリスクが減ってコントロール性の高い車に仕上がると思います( ̄▽ ̄)